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ポケットの中の戦争【この宇宙の片隅に】

ポケットの中の戦争

どうも、のうみです。

戦争によって壊れていく小さな世界の物語がこんなに心に深く突き刺さる作品に未だ出会ったことがない。

全ての人に観てほしいガンダム作品。

記事を書きながら思い出すと涙が出てしまうぐらい悲しくも希望に満ちた物語

それが機動戦士ガンダム0080「ポケットの中の戦争」です。

正直モビルスーツの存在を抜きにしてもまったく問題のないくらい素晴らしい脚本だし深いテーマが込められてる。

ガンダムシリーズなのにニュータイプではないパイロットが主人公の唯一の作品…だったはず。

舞台は一年戦争の末期、中立コロニーのサイド6。

ジオン公国の特殊部隊サイクロプス隊に配属された青年パイロットバーニィとサイド6の中立コロニーリボーで暮らしている少年アルとの出会い。

そして、リボーに帰郷してきた隣人のお姉さん的存在の地球連邦軍テストパイロットクリスが戦争によって三人の歯車が大きく動き始める。

サイクロプス隊に託された極秘任務ルビコン計画はリボーに密かに輸送された新型ガンダムを奪還すること。

その任務を背負ったバーニィはアルと共に情報収集の中で交流を深めていく。

互いの境遇を知らぬままアルのことをきっかけにしてバーニィとクリスは出会い、そして互いを意識するようになる。

連邦の極秘任務ガンダムNT-1のテストパイロットとしてクリスがリボーに戻ってきたことを二人は知らなかった。

ガンダムNT-1ことアレックスはニュータイプ専用機。

アムロに引き継ぐ為に機体テストをリボーでしていたということは、このコロニーは中立ではなく地球連邦側ってこと。

互いを知らぬままの戦闘

物語の終盤はルビコン計画の失敗によりバーニィ以外のジオン兵は皆殉職し、この戦争はジオンの敗色が濃厚なる。

そこでジオンはガンダムの奪還を諦め一部の将校の独断により核攻撃でコロニーの破壊計画を進めていく。

それを知ったバーニィはコロニーから脱出することをアルに打ち明けて去ろうとする。

コロニーを守ってほしいと懇願するアルや想いを寄せるクリスそして、このコロニーの人々を見捨てることができずにガンダムと対峙することを決意。

ガンダムが消えれば、ジオンも核攻撃をする意味がなくなると考えてアルと共にガンダムと戦う計画を練り、ついにその日を迎える。

バーニィの搭乗するザク改の前に現れたガンダムと戦闘になり互いの機体は激しく損傷、そしてガンダムのライトサーベルがザクのコクピットを貫く。

コロニーを逃げるように言われたアルはその場を目撃し、激しく大破したガンダムからテストパイロットとして搭乗していたクリスの姿を見つけ愕然とする。

ジオン艦隊はすでに連邦軍に降伏し核攻撃の脅威はすでになくなっていた…

戦争が生み出した悲劇と希望

立場の異なる者が互いに守るべき何かの為に命を懸けていたバーニィとクリス。

アルに託したバーニィのメッセージにはアルを想う言葉がいくつもあり、逆にそのことが子供だったアルの心を苦しめるているのが伝わってくる。

アル、いいかい、よく聞いてくれ

この包みの中には、俺の証言を収めたテープや証拠の品が入っている

このコロニーが、核ミサイルの目標になった訳を知る限り喋った

もし俺が死んだら、これを警察に届けてくれ

大人が本当だと信じてくれたら、このコロニーは救われると思う

俺が直接警察に自首しようかとも思ったんだがなんていうか…

そうするのが逃げるみたいに思えて

ここで戦うのをやめると、自分が自分でなくなるような…

連邦が憎いとか、隊長たちの仇を討ちたいとか、いうんじゃないんだ

上手く言えないけど、あいつと、ガンダムと戦ってみたくなったんだ

俺が兵士だからなのか、理由は自分でもよくわからない

アル、俺はたぶん死ぬだろうが

そのことで、連邦軍の兵士やガンダムのパイロットを恨んだりしないでくれ

彼らだって、俺と同じで自分がやるべきだと思った事をやってるだけなんだ

無理かもしれないけど、他人を恨んだり自分の事を責めたりしないでくれ

これは俺の最後の頼みだ

もし、運よく生き延びて戦争が終わったらさ、必ずこのコロニーに帰ってくるよ

会いに来る、絶対だ

これでお別れだ、じゃあなアル

元気で暮らせよ!クリスによろしくな!

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 第6話「ポケットの中の戦争」より

この作品を観た人ならこのバーニィーのビデオメッセージを読んでると、あの優しいBGMが頭の中で再生されて涙が溢れ出ちゃうはず。

バーニィはアルが戦うことを懇願した自分を責め続けるてしまわないように、このメッセージを残しておいた。

結果としてアルはクリスにバーニィを殺した事実を言うことなく、その十字架を自分が背負うことになってしまったし、アル自身がそれを望んだ。

二人が何を守ろうとして戦かったのかを知るのはアルだけ、そのこと忘れないとバーニィに固く誓い子供だったアルは大きく成長した。

エンディングで戦争の終結を知ったアルが泣き出したのは戦争が招いた小さな世界の現実を体験したからこそ、無邪気だった頃とは変わっていた。

アルはこの戦争から学びそして大きく成長し、バーニィとクリスの二人が繋いだ想いを胸に生きていくことになる。

この作品のテーマは「反戦」ではなく「戦わなくてはいけない時がある」だと思う。

ここで戦うのをやめると、自分が自分でなくなってしまう…バーニィもクリスもアルも何かの為に戦っていたし、それは「戦争=悪」という単純な構図ではない。

宇宙創世紀の歴史の片隅の小さな世界の出来事。だからこそ一般的な人々の目線で描かれたガンダム作品として異彩を放っている。それじゃ~また。

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