どうも、のうみです。
2010年にTBS系列にて放送されたSPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜。
堤幸彦監督によるケイゾクサーガまたはSPECサーガと呼ばれ、1999年にTBS系列にて放送されたケイゾク→SPEC→2018年にParaviにて配信されたSICK'Sの三部作がその物語。
表向きは科学的に説明のつかない事象に関わる事件を捜査する左遷部署だが設立目的は近年水面下で拡大している、特殊な能力を持った者が関わった犯罪を取り締まる部署がこの公安部公安第五課未詳事件特別対策係こと未詳。
そこに部下を誤射したことにより異動してきた瀬文焚流(せぶみたける)とIQ201の頭脳をもつ変人当麻紗綾(とうまさや)そして元捜査一課弐係通称ゴリさんこと野々村光太郎の三人がスペックホルダーと刑事魂を懸けて戦う。
スペックホルダーとは特殊能力者を人的資源としてみなして企業や国家がその存在を囲い込み権力闘争の道具にしている派閥あるいは組織化した能力集団。
堤監督と言えばTRICKでも有名ですが随所にギャグを盛り込んでいる作品が多いですがこのSPECも良い感じにギャグ満載。
ギャグばかりではなく物語が進むにつれて瀬文と当麻の二人の絆が深まっていくことで生まれる葛藤や苦悩に涙を誘うシーンもある。
余談ですがこの作品のオープニング曲NAMInoYUKUSAKIは世界観にあった素晴らしい曲ですので聞いてみてね。
こうした特殊能力者の犯罪の捜査をする物語となっていますがその前章となるケイゾクはサスペンスのように謎解き刑事ドラマ。
しかし、そこに朝倉と呼ばれる資質な存在が現れます。
実際にはその兆候が朝倉と対峙する前段階で幾つかあり、真山に朝倉のことを伝える偽預言者(実際はスペック保有者)もその布石の一つ。
恐ろしいことですが、朝倉が偽預言者を介して真山に伝えている可能性もある。
主人公の一人である真山の妹を強姦した少年グループのリーダー格が朝倉であり妹は後に自殺し、そしてもう一人の主人公の柴田も親友の麻衣子に朝倉が暗示をかけて利用し麻衣子は後に自殺している。
麻衣子の嫉妬の感情を利用された結果、恐らく本人が耐えられなくなり自殺したと考えています。
両者ともに朝倉は自殺に追い込んだのでは無く、結果的に自ら命を絶ったというのことは朝倉を理解する上で重要な鍵だと思う。
ケイゾクにおける朝倉という異質な存在
ケイゾクにおける朝倉という異質な存在
SPECサーガを語ると必ずこの朝倉にどうしても触れずにいられなくなります。
朝倉のことを語ればきりがないのですが以下のような能力を持っている。
暗示、記憶操作、精神支配などによるマインドコントロール。
これって、まさにスペックホルダーですよね。
これらの能力を駆使して捜査をかく乱して犯罪をゲームのように楽しむ朝倉。
そして真山がたどり着いた妹の仇でもある朝倉は記憶を植え付けられた偽者の朝倉だった。
裏で糸を引く本物の朝倉と思われたのは捜査一課トップの早乙女管理官だがその朝倉さえも偽者。
朝倉とは一体なんだったのでしょうか?
掴みどころなく実態のある本物の朝倉などという存在があるのか疑念を抱いた人いるはず。
私の妄想ですが朝倉とは人間或いは世界の中に潜む概念的存在なのではないかと思う。
その狂気性から悪意の象徴的存在と思ってる人が多いと思うのですがそうではなく、人に潜む人間性の根源的な人格こそが朝倉なのではないのか?
あらゆる人の中に潜み、本能の赴くまま狂気的な行動し、ある時は一つになろうと人と同化によって救済しようとする。
理性によって隠れた人間の本能に宿る何かこそが朝倉なのではないでしょうか?
朝倉は人の意識の中でしか生きれない存在、人の心の中に認識されることでしか存在できない実体の無い存在だと考えています。
しかし、どうやらそうでは無いようです。
映画SPECのラストシーンでの朝倉は私の想像の遥か斜め上をいく先人類を超える存在だったから。
もしかしたら朝倉は先程説明した人類に潜む集合理念ではなくガイア(地球)さえも包み込む宇宙意思なのでしょうか?
あの映画のラストシーンは陰陽の性質を表してるのが男女の声の主なのかも?
ちょっとスケール感が大きくなりすぎてると感じちゃいますよね。
余談ですが映画とケイゾクを何度も観た方ならお気付きの重要なセリフがあります。
TV版ケイゾクにて早乙女の姿をした朝倉が血まみれの真山を蹴りながらこう言い放ちます。
「腐っていく肉、うじ虫、うじ虫、土に還れ生ごみィィィ!」
そして映画版SPEC結(爻ノ篇)にて当麻を冥界へ取り込もうとするセカイが呟くセリフ。
「腐った肉、腐った肉、この生ごみ、生ごみ、うじ虫、うじ虫、ガイヤのうじ虫ィィィ!」
朝倉はセカイだったのか?
否、そうでは無く上記で説明した通り朝倉は全ての人の中に在る。
つまりセカイの中にも朝倉が潜んでいたと私は解釈しています。
恐らく真山、柴田、当間、瀬文、野々村など全ての登場人物の中に存在するのでしょう。
マインドコントロールと思っていた能力は本人の意識に潜む人間の感情、つまり根源的な人間性である朝倉が引き起こしていたのかも?
こうして考えると、もしかしたら真山は妹に兄妹以上の歪んだ愛情を抱いていた可能性も考えられます。
そこを突いてくる朝倉はそうした真山の感情を見透かしていたのかもね。
そして『SPEC』『SICK'S』へと受け継がれる刑事魂!
そして『SPEC』『SICK'S』へと受け継がれる刑事魂!
SPECでは人間の中に潜む能力が徐々に解放され始めた時代の物語なのですが、脚本の西荻さんがかなりの情報量を映画に盛り込んだこともありファンがついていけない状況になってしまった感は否めません。
ここまで語っていたことはTVドラマ版「SPEC」続編となる驚愕のストーリー展開となっていく映画版「SPEC」シリーズの天→結(漸ノ篇)→結(爻ノ篇)そしてSICK'Sにも繋がります。
次回やるときがあればイラストを含めて詳しく説明しようと考えています。
とても残念ですがSPECの続編であるSICK'Sに関してはケイゾクから観てる人にとっては納得のできる作品だった人は少ないと思う。
このシリーズは人を惹きつける素晴らしい物語。
だからこそ、こんな幕引きで終わってほしくはないと思ってるファンは多いはず。
私もその一人で、SICK'Sの第一話のオープニング観た時の失望感は言葉にならないほど辛かった。
【2020.11.20追記】
SICK'S全編をがんばって観ました。
私が想うことは、どうしてこんなことになってしまったのか?
演者の方、裏方、関わった全ての人がきっと良い作品にしようと心を一つにして頑張ったはず。
Paraviに問題があったのか、予算の問題なのか、脚本の問題なのか。
理由はどうでもいい、ただファンとして悲しい、作品を観て感じたのはそれだけ。
【2021.1.30追記】
SPECスピンオフ作品でサトリに続き、冷泉が主役の物語が2月18日にParaviにて公開されます。
SPEC公開から10年、まさかここに来て冷泉とは…凄く楽しみです!
ケイゾクにて殉職?した木戸彩の妹・木戸晶【鈴木紗理奈】も登場とのことで妄想が広がる。