おかねのはなし

ケネディクスTOB【べ、べつにケネのことなんて好きじゃないんだから!】

ケネディクス

どうも、のうみです。

ついに始まりました。

果たして株式公開買い付けの歴史に輝かしい名を刻み込むのか、あるいは汚名を刻むことになるのか?

この投稿は株式投資にまったくやったことがない方でも読みやすいように決算書を読み解くとか細かい数字に関する情報に関してはあまり触れていないので安心してね。

本日(2020.11.24)より思い入れ深い銘柄であるケネディクスに対して三井住友ファイナンス&リース(F&L)が子会社化に向けてTOBが開始。

2020.11.24~2021.1.8の期間で最大1,320億円規模(ケネディクス株式の約80%)の公開買い付け(数量:下限46.40%~上限なし)、1株750円(2020.11.20終値655円)で取得。

三井住友F&L(80%)と現筆頭株主DBS銀行の親会社ARAアセットマネジメント(20%)の2社のみが株主となりケネディクスは上場廃止になる予定。

すでに過半数の株主と合意済みとは思えないのですが出来レースではないことを祈るばかり。

一人の株主の願望としてはTOBに抗う株主による催促相場となる流れが理想的ですが今の段階では希望的観測。

そして三井住友F&LとDBS/ARAの株式比率80%:20%を上場廃止後に70%:30%に調整することで合意済み。

これはARAからの提案により株式10%分を相対取引で増やすとのこと。

2021.1.18追記

宣言した通り「株式観音!肆参(資産)乃掌!【つまり真相は不可避の速攻である】」を投稿しました。

運用状況&保有銘柄を全て公開しましたので観覧してみてね。

2020.12.4追記

2020.6.30時点でケネディクスの大株主DBS(19.34%)が保有している株式が実質的にはARA管理している株式と思ってます。

一時期これは見当違いではないかと考えたこともあったのですが、過去の大量保有報告書(EDINET)と大株主及び持株比率を照らし合わせて判断した。

恐らくこれであってる…はず。

2020.12.3追記

ケネディクスより分厚い書類が送られてきましたので熟読。

一部理解不能w

相対取引は公開買付価格と実質的には同額での譲渡となると記載されていましたが公開買付価格の均一性規制に抵触しない範囲の価格なので必ずしも750円とは限らないようです…ちょっと怪しいなぁ。

ひょっとして三井住友F&Lはケネディクスを完全子会社に「しない」のではなくて「できない」のではないのでしょうか?

つまりこのTOBはケネディクスとARAが主導してるのかも知れませんね。

交渉によって切り離せない理由はDBS銀行が関係している可能性もあるかも?

それにしても、相対取引の中身は不明ですが市場外で株式の10%を譲渡とかTOBではよくあることなのかな?

ケネディクス

余談ですがこのTOBの買い付けは三井住友F&Lの完全子会社(SMFLみらいパートナーズインベストメント2号)を通じての取得。

気になってこの会社のことを調べてみたのですが、この社名で全国法人データバンクに法人番号登録されていて、その指定日が2020.8.4となっていました。

TOBに関する資料には6月頃に水面下で協議があったようでこの情報だけでは断言することはできない。

ですが8月の段階で既にTOB骨子は合意済だった可能性は少なからずあると思う。

不思議と嫌いじゃなかった『ケネディクス』

リーマンショックによって焦土と化した不動産業界。

跡形も無く焼かれそして灰になったダヴィンチや大波に飲み込まれたリサ

その数多の不動産企業の中で生き残ったケネディクス。

この手痛い経験こそが今のケネディクスの経営陣に深く刻まれている。

それほどあの時期の不動産業界は危うい状態だったのは過去のチャートを見るとそれが分かります。

そして壊滅的打撃によって保守的な経営方針(安全・安定重視)が構築され、金融緩和発動後も一時的上昇はありましたが、その後の株価は一定の値幅を行ったり来たりする状態が長く続きます。

安全・安定重視は投資家の巨額資金を扱うのでしかたがない思っていますが、そうは思えない株主は多かった。

その最も大きな理由は全体の相場に流されやすいのに下げには引きずられる割には上げには乗っかれないこと

景気に揺さぶられないよう安全・安定重視を謳っているに皮肉なことに上げに弱く下げに流されやすい不安定な企業のレッテルを貼られていた。

そのレッテルを打破する時がいつか来ると思い続けていたのですがTOB発表は正直に驚きました。

長年売買を繰り返してきた個人投資家の一人としては歓喜と共に夢を追った友を失った喪失感が入り混じった心境

きっと同じ心境の株主はいるはずと考えたので、この記事を投稿することを思い立ちました。

ケネディクスとの出会いをは忘れもしない7年前の黒田バズーカこと異次元金融緩和前。

そこから甘美なまでの絶頂状態を味わってしまったことで今日まで付き合うことになってしまったのが全ての始まり。

最初の頃は希望を抱き長期保有を目的にやっていましたが、幾度となく予測を裏切られ苦い経験をしたことか。

それは異次元金融緩和(2013.4)から今日に至るチャートを見れば分かると思う。

投資スタンスを短期保有に切り替えてからも金融緩和発動時850円の壁にトライするチャンスがありながら何度も逃しています。

被害妄想かも知れないけど何故かケネは上昇する情報&環境が揃ったという時に限って地政学的リスクなどの外的要因に巻き込まれることも多かった。

潜在的成長性を信じたのだけど潜在したまま終わるのかと疑念を抱いた株主も多いはずで、そんな経験しているとTOB絡みのこの一連の出来事にも根拠なき恐怖感が頭の片隅から消えませんw

この様に付き合いの長さによっては必ずしも良い印象を抱いていない方もいることを少しでも良いからケネディクスの経営陣は理解してると信じたい。

まだこのTOBしだいで上場廃止が確定している訳ではありませんが、今思うことは裏切られることが(かなり)あったけど私はそんなケネが嫌いじゃなかった(好きとは言ってない)。

株式投資を始めてからTOBを客観的に何度か見てきましたが自己保有で起こったのは初めての経験ですがこのTOBが効力を持つ限りは750円での買取は保証されてるということが重要。

だから単純に保有し続けるのは最善策ではなく、このTOBに関する情報をしっかり自分で理解してケネディクスの行く末を見守っていこうと考えています。

ここまで読んだ通りかなり思い入れがある銘柄なので良くも悪くも若干偏った解説になってしまうのでその辺を考慮して読んでみてください。

駆け引きはTOB発表前から始まってた?

TOB発表後の通期決算予想減益修正期末配当見送り

このネガティブサプライズには何の意味があったのか?

今年はコロナの影響によって停滞した不動産市場のことを考慮すれば、この通期予想減益は仕方がないかもしれません。

しかし、僅か11日前の第3四半期決算発表まで頑なに通期予想減益しなかったのは何故でしょうか?

この情報開示に関しては極めて狡猾な悪手だと感じる。

その理由は以下の2つ。

今の段階でのケネディクスの企業価値を低く見積もらせ750円の妥当性を株主(市場)に対して示したい。つまりはカウンターTOBに対しての防衛効果もある。

カウンターTOBが名乗り出ずTOB失敗の場合は上場を維持することになり結果として株価が下落する状況を人質として利用して株主にTOBに応じるように仕向けている。

仮にこの通りだとしたら株主利益を完全に無視した行為としか考えられない。

事実はわかりませんが経営権の問題とか大人の事情が絡んでるのかもしれません。

可能性は低いですが仮にカウンターTOBが現れず、さらに750円での買い付けに株主が応じず下限(46.40%)に満たない場合は株主とケネディクス双方にとって最悪の結末を迎えることになりそう。

第3四半期減益→三井住友F&LによるTOB発表→通期決算予想減益修正この流れによって形成された不可解なチャートを今の時点で眺めてみると様々な妄想ができますね。

第3四半期開示と同時にTOB発表をしなかったのは何故なのか、協議中だったと言われたらそれまでですが疑惑は向けられてしかたがないとは思う。

第3四半期開示前とTOB発表前のチャートの動きは明らかに不自然に見えるのは私だけではないはず。

本題に戻りますがこのTOBはケネディクスと三井住友F&Lの双方が合意済みの友好的TOBのようです。

でも気になる点があるので解説。

2020.12.17追記

上記のネガティブサプライズの情報開示についてケネディクスが仕掛けた本当の悪手を見落としていたことに気付きました。

本日投稿した「ケネディクスTOB【嘘じゃないよ。強がりじゃないよ。少しだけ嬉しい。】」を観覧してみてね。

この投稿は個人の見解であり購入を勧めている訳ではないので実際に取引する場合は自分の判断でお願いします。つまりは投資は自己責任。

750円に込めた買収側の意思表示

買収側の三井住友F&Lはコロナ禍においてリース業は好調とは言えないのでTOBを契機に不動産事業を拡大したい思惑がある。

一方ケネディクスは不動産ファンド運用している会社ですから運営する不動産物件のリース商品の管理コストを抑えるなど双方にメリットがあるのでしょう。

2020.12.13追記

ケネディクスにとって最大のメリットは三井住友という莫大な資本力を後ろ盾に盤石な経営基盤を築くことができるから。

独立系から銀行系不動産ファンドへ。

経営陣・従業員・株主などそれぞれの立ち位置によってこのTOBに対して異なる反応をするのは当たり前。

ケネディクスにはコロナ禍以前の金融緩和以降からの不動産活況期において意図して利益を出していなかったように疑っている株主も結構いたと思う。

つまり現経営陣の待遇を維持しつつ上場廃止して株主や株価つまり公開された市場からある種の圧力から解放されたいのかもしれない。

ケネディクス

ケネディクスはREIT(不動産投資信託)や私募ファンドやクラウドファンディング(bitREALTY)によって集められた投資家の資金を運用・管理する不動産アセットマネジメント業界の独立系最大手。

ちなみにセキュリティトークンはケネディクスと三井住友信託銀行が協賛して野村HDの出資による合弁会社BOOSTRYによって発行された個人投資家向けのデジタル証券のこと。

日銀は金融緩和策の一環でETF同様にJ-REITに対しても継続的な買い入れを行い間接的に不動産に膨大な資金を流しています。

業績はTOBがあった数時間後に通期決算予想減益修正を見る限りコロナの影響を受けているようで期末配当(8.5円)もTOB実施に伴い見送り。

ケネディクスの時価総額1,445億円(2020.11.20)ですから公開買い付け資金最大1,320億円で株価750円で80%の株式取得となる。

ここで気になるのは時価総額を遥かに凌駕する保有不動産の受託資産残高(AUM)が2兆5,000億円(2020.9)があること。

これは投資家(個人投資家や機関投資家やヘッジファンドなど)からの受託資金による運用・管理とはいえ都心や主要都市の2兆5,000億円及ぶ土地&建物の支配権を保有している。

AUMという利益の源泉から安定した運用・管理利益【アセットマネジメント事業】売却益【不動産投資事業】の二つの柱により収益を生む。

こうした時価総額と保有不動産【受託資産残高】の歪な構造がケネディクスの魅力であり、それを踏まえると750円はどう考えてもあり得ない株価

2020.12.3追記

保有している全ての不動産が優良な物件である保証はありません。

そこそこ長い付き合いのケネディクスIR資料を見てきた私からするとここ数年でリーマンショックの膿は出し切ったと考えています。

万が一にもレバレッジ開発案件によってとんでもない爆弾抱えていたら750円は妥当なのかも?

いずれにせよ仮にカウンターTOBを考えているファンドがいたとしたら顕在化していない部分を含めた財務状況を徹底的に調査してるはず。

まぁこうした考えに縛られて売買を繰り返していたのでこの株価に納得できない個人的感情があるのも事実として受け止めています。

事前協議によって合意した750円でTOB成立させることが可能と判断したのにはそれなりの理由があるはずなので株主が驚愕する隠し玉を持っているのではないかという疑いは晴れません。

しかし、このTOB価格によって株価上昇を抑制したいのかも知れませんが逆に投資家の心理に油を注ぐことになりTOB条件の変更やカウンターTOB参戦を待ち望む催促相場になる可能性もあります。

コロナ禍で不動産株なんて…と考える方も多いと思いますがこれだけ市場にお金がジャブジャブの状態でその多額の資金が向かう先は限られています。

投資対象はFXや暗号資産などリスクの大きな選択肢もありますが受け皿には限界がある。

株や土地に資金が流れるのは必然。

もちろん全ての投資にリスクはありますがこうした環境で安全性が高く担保価値がある都心の土地に外資系ファンドが惹かれるのは当然ですよね。

オフィス需要についても少し前までリモートワークを体験して感じたのですが全社員をリモートワークに可能なら恐らくオフィスはいらないと思いますが、それが可能な会社は都心に何社あるのでしょうか?

アフターコロナに向けてソーシャルディスタンスを保つことが可能な大規模オフィスが必要となるかも。

近年のTOBによる事例「ユニゾホールディングス」

ひと昔前なら普通にTOBが完了して後に大きな利益を獲得した事例のひとつとして終わる。

ですが近年のTOB事例やコロナ禍での金融情勢を考えると国内・海外の不動産企業やファンドがカウンターTOBを仕掛けても不思議ではありません。

外資系ファンドが莫大な資金をコロナでの影響が世界主要都市と比較して軽微な日本(主に都心)の不動産を獲得に動いているのはニュースでも最近よく目にする。

後だしジャンケンの様に手の内を先に晒すことが不利なのは買い付け側も承知してるはず。

この買収劇を考えた人達もその可能性があると理解したうえで上で、この株価設定してるでしょうから買収による神経戦は始まる前から水面下で始まっている。

明らかな安価設定した750円を最低ラインにしてカウンターTOBを意図的に待ち受けてるのかもね。

ここ数年のケネディクスの株を保有してる個人株主なら感じてるであろう怨嗟をきっとケネディクスは理解してると思う(たぶん)からこの株価でTOB成立しないのは流石にわかってるはず。

最近起こった有名なTOB合戦の事例としてユニゾホールディングスTOB(2019.7~2020.4)を参考すると今後の展開の可能性の一つが見えてくるかもしれません。

あくまで稀有な事例。企業規模やTOB条件などが一致する訳ではありませんのであしからず。

優良な不動産を保有していたユニゾを巡り敵対的TOBを仕掛けた筆頭株主「エイチ・アイ・エス」を皮切りにソフトバンク系投資会社「フォートレス」と米大手投資ファンド「ブラックストーン」などによってTOB合戦が勃発。

買い付け価格の提示と協議を繰り返した結果、最終的にユニゾ従業員によってEBO(従業員買収)成立となる驚愕の結末を迎えた。

ちなみに株価推移はTOB公表前:1,990円(2019.7)→エイチ・アイ・エスTOB:3,100円→フォートレスTOB:4,000円→ブラックストーンTOB(協議打ち切り):5,000円→ブラックストーンTOB:5,600円→ユニゾEBO:5,700円→ブラックストーンTOB:6,000円→ユニゾEBO:6,000円→上場廃止

ここには名前を出していない企業やファンドの交渉が幾つかあったのですが長くなるので割愛。

ユニゾの一連の買収劇によって最終的についた株価が果たして妥当な価格だったのかは置いといて、株式争奪戦として間違いなく歴史に名を残すTOB案件。

余談ですがその後ユニゾはEBO成立の資金を必要とするので相当数の不動産を売却することになった。

会社(経営権)を守った代償は高くついたのかも?

今後、株価はどうなるのか?

こればっかりは誰にもどんな結末になるかは断言できません。

本日(11/24)の取引は特別なことが起こらない限りは下限750円(TOB価格)~上限755円(ストップ高)でしょう。

TOB水準に達した明日(2020.11.25)以降は国内・海外の企業やファンドが登場しカウンターTOBによって現経営陣の処遇や上場維持or廃止など様々な展開が考えられます。

しかし、ここでは企業名は伏せますが時価総額も比較的近い同業他社の某企業と比べて一株当たりの当期純利益率(PER)を指標として判断した場合、この750円という価格は論外としか思えない。

明確な数字を提示できなくてすみませんがつまり時価総額基準で考えても最低でも1,000円以上はあって然るべき

ただ市場は今までそう判断しなかったことも事実。

仮に上場廃止になるとしても良い意味で歴史に名が残るTOB事例として終わってほしいのですがどうなることやら。

TOBは企業間による複雑な神経戦だと散々語っておいて言うのもアレですが結局は何も起こらずに750円でTOB成立も十分にあり得ますw

私の様な個人投資家の場合はどうしても感情に流されてしまう。

企業価値を判断するのは本当に難しいのだと改めて感じる。

冒頭で言いました歴史に輝かしい名を刻み込むか或いは汚名を刻むことになるのかは市場が判断し、株価という物差しでケネディクスという企業価値を評価するということ。

その評価によっては市場から「ケネディクス」の名が消えることになります。

次回投稿のケネディクスTOB【狙った通りに株価が動けば投資家冥利だろ?】につづく。

波乱なしでTOB成立するとはどうしても思えない!べ、べつにケネのことなんか気にしてないんだから!それじゃ~また。

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