どうも、のうみです。
賢人曰く「銘柄に惚れるな」とあります。
銘柄(企業)に感情(愛や憎悪など)を持ち込むとバイアス(情報の偏り)がかかるので正確な投資判断ができなくなる。
その通りだと思う。
さすが投資の賢人の言葉には重みがあります。
しかし、これに異を唱えた格言が存在するのをご存じですか?
それは「惚れない銘柄は買うな」です。
そんな相場の格言を聞いたことがない方がほとんどはず。
これは個人投資家のみに許される特権で堅実な投資家ならそうした感情を出来る限り排除して利益を獲得していくべきですが私は楽しく投資をしたい。
幾度となく痛い目にあったけどこのケネディクスTOBを一人の投資家(株主)として目が離せない、そうした思いの株主は少数かもしれませんが必ずいる。
投資家の中には痛みの大きさ故に恨みを抱いている方もいるかもしれませんが条件次第では市場からその名が消える、だったら最後は盛大に見送ろうではありませんか。
前回の投稿を読んだ方も一部修正と追記をしているのでケネディクスをより深く知りたい方も含め観覧してみてください。
ケネディクスへの吐き出したい感情はまだまだあるのですが今回はこのTOBをさらに深く理解するための解説をしていきます。
ケネディクス株主(投資家)の思惑
ケネディクス株主(投資家)の思惑
ケネディクスTOB発表から大きな動きも無く2週間が経ち東京ドームTOBに話題を奪われ蚊帳の外…しかし先週末ちょっとした動きがありました。
大量保有報告書(EDINET)にて野村證券のケネディクス株への大量報告書(5%ルール報告)が提出されました。
報告書によると野村證券が幾つかの子会社を介してケネディクス株を6.19%を新規取得。
【2020.12.8追記】
米フィデリティ傘下FMRのケネディクス株保有割合が9.13%→0.92%と減少。
TOB発表後(報告義務発生日11/30)に売却したようですね。
TOBには参加しないということですね…計画通り?
それが原因とは思えないけど安値749円に引きずられる瞬間がありました。
明らかに先週より値幅が小さくなりつつありますがこれは良い傾向だと考えてます。
出来高の減少が確認できるので売買が拮抗して枯れ始めている証拠です。
次の段階の布石なら何かしらの変化が起こることを期待したい。
株価が収束するのは時期尚早。
【2020.12.13追記】
ファイアウォール規制撤廃(同一グループの銀行と証券が顧客情報の共有解禁)を巡る議論が動き出しました。
野村證券や大和証券など独立系は反対。
三井住友銀行や三菱UFJ銀行など銀行系は賛成。
顧客に同意無く顧客情報を共有可能となった場合は銀行系のみ優位性が高まるため独立系は反対する立場は揺るがないようです。
この議論を見る限り独立系(野村・大和)と銀行系(三井住友)がケネディクスTOBで本当に協力関係にあると思いますか?
ちなみにこのTOBにはケネディクスと三井住友ファイナンス&リースとARAアセットマネジメントや関連企業からの市場取引(売買介入)は行わないことになっています。
但し関連の無い企業が代理(敵or味方)で動いてる場合もあり、TOB発表前に大株主の企業にすでに応募確約を合意してる可能性もあります。
さらには大量報告を回避する為に5%未満で抑えて取得している場合もあるのかも?
とても重要ことですが本公開買付は市場売買ではなくケネディクス株主を対象とする応募(TOB価格750円)によって株式取得割合が46.40%満たない場合は全ての買い付けは行わずTOBの効力を失うということを理解しておいてください。
これがリスク要因でもあり、TOB効力のある間は750円を株価が割らない要因でもあります。
そこに様々な思惑の魑魅魍魎が入り乱れる展開になりつつある。
【2020.12.8追記】
上記のリスク要因とはTOB応募終了(2021.1.8)が迫ってくると良くも悪くもチャート(株主心理)が揺さぶられること。
その変化は小さいのか大きいのかは状況しだいですが幾つか想定。
そのことについては次回の投稿で触れてみようと思ってます。
現状のケネディクス株主(投資家)のグループ(派閥)をざっくりと紹介。
TOB成立に関係なく750円以下で買って751円以上で売り利食いを繰り返す堅実なベテランハンター
TOB条件の変更orカウンターTOB待ちでホールドする狂信ピエロ←ちなみに私はココ!
TOB条件の変更orカウンターTOB待ちの750円以上の中途参加のイナ…じゃなかった新人ハンター
TOB不成立や他銘柄への投資による機会損失を考え750円以上で市場で売買して戦術的撤退する中堅ハンター
すぐにTOBに応募する自称ハンター(SMBC日興証券口座開設ご苦労さまですw)
TOB不成立を好機と考える異端の存在つまり幻影の旅団
TOBに絡んでくる企業やファンド…十二支ん(その中でも思惑の違いがあり敵とか味方の判断が難しい)←野村證券はココ!
嘘や事実が入り乱れて根拠なき噂ですら個人投資家は揺さぶられる、まさに心理ゲームの極みがここ在りって感じ。
大量保有報告書を提出した野村証券についても様々な考察ができます。
前回の投稿で紹介したケネディクスの不動産アセットマネジメント事業の4つの窓口に気になる情報があります。
REIT(不動産投資信託)
投資法人を通じて投資家が不動産を間接投資し、賃料や売却益の一部を分配金として配分する。証券化されてるので株式と同様に市場で売買取引が可能で価格変動する。ケネディクスでは複数の不動産カテゴリーによって分かれておりケネディクス・オフィス投資法人/ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人/ケネディクス商業リート投資法人が東証に上場している。機関投資家などの特定の投資家だけを対象にしたケネディクス・プライベート投資法人もある。
私募ファンド
機関投資家向けの不動産投資。ケネディクス・インベストメント・パートナーズ株式会社が管理&運用してる…大口顧客専門ってことでいいかな?
クラウドファンディング
bitREALTY株式会社が運用する個人投資家向けプラットフォーム。投資対象は選別された優良不動産(○×ホテルや△□ビル)を証券化しているので直接投資が可能。定められた期間運用後に投資家は利益(利回り)を得る。
そしてbitREALTY株式会社の株主はケネディクスと野村総合研究所。
セキュリティトークン
株式会社BOOSTRYがブロックチューンを活用したデジタル証券の発行プラットフォームを開発。
ブロックチューン基盤「ibet」で管理するデジタル証券の発行にケネディクスが協業している。
さりげなく紹介しているけど不動産デジタル証券って凄くないですか?
ブロックチューン技術の活用により不動産の権利移転が効率化され取引の流動性を劇的に変化させる予感がする。
遠くない未来の不動産取引の主流になるのではないかと夢想してます…これを不動産テックというのですかね?
例えるなら暗号資産に不動産資産価値が担保されてると考えるとイメージし易いかも(実際はデジタル証券と暗号資産は別物)。
REITの様な市場での分散型投資とは異なり個々の不動産を対象として24時間いつでもどこでも不動産取引が可能…これって革命的なことだと私は思うのですが皆さんはどう思いますか?
そしてBOOSTRY株式会社の親会社が野村ホールディングスとここにも繋がりがあります。
クラウドファンディングやセキュリティトークンのプラットフォームの技術はどちらも野村系企業が開発していることを考えると切ることのできないビジネスパートナーなのは明らか。
このタイミング(報告義務発生日11/30)で野村證券がケネディクス株式を取得した理由は今の段階ではわかりません。
ケネディクス・三井住友F&L・ARAと組んでることもありえるし、野村がケネディクス取り込むことで不動産デジタル証券のパイオニアとして開発・管理・運営の全てから利益を得たいと考えているなんてこともありえるし、想定の遥か斜め上を行く理由があるのかも…
証券会社大再編の黒歴史
証券会社大再編の黒歴史
バブル崩壊によって起こった証券業界再編の荒波を乗り越えた日本三大証券である「野村證券」「大和証券」「SMBC日興証券(三井住友FGの子会社)」はビジネスパートナーとして協力関係を組むことはありますが基本的には敵対関係にあります。
そして、リーマンショック後に再び起こった証券業界再編に絡み紆余曲折の末にSMBC日興証券が生まれた過程において激しい主導権争いが勃発。
国内銀行や証券会社そして海外資本による血で血を洗う戦いによって生まれた遺恨(大和を切り捨てた)が未だにありケネディクス大株主の中にその大和証券(DAIWA CM SINGAPORE)の名があります。
まぁ大手証券会社は幅広く分散投資しているのですからケネディクス株を保有していて当然と言えば当然と考えることかもしれません。
そして大きな事業に大手企業が関わることなど多々あることですから私の偏った思考から生まれた単なる妄想なのかも…
ケネディクス(経営陣)の思惑
ケネディクス(経営陣)の思惑
公開買付前の段階で市場で株式を購入しないのはこのTOBが友好的なものだからなのでしょうか?(チャート上では明らかに不自然な動きあったけどここではスルー。)
最終的に三井住友F&Lがケネディクス株の全て(ARA保有の20.27%を除く)を買い取ることになるならARAが事前に市場取引で+10%獲得しても良いはず。
もっと強引なTOBも可能だったのに、そうはしなかった…もしかしたらケネディクスなりの大義というか…株主への配慮なのかもしれませんね。
いずれにしても上場廃止後は経営陣は株主の思惑に左右されずリスクの高い案件を手掛けることができより大きなリターンを追求できる。
非上場の理由についてはケネディクスだけではなく本TOBに関わるARAと三井住友F&Lの3社が大幅に利益が見込める好機が訪れた段階で再上場を考えているのでは?
そうでも無ければ市場で売買出来ない非上場株式をARAが公開買付後にケネディクス株を相対取引で10%要求するメリットが無いはず。
ではケネディクスにとってどんなメリットがあるのでしょうか?
やはり待遇の良い椅子が用意されてるのですかね…役員高額報酬や余剰利益など突っ込みどころがあり株主から冷ややかな目で見られていたのも事実。
偶然にも先日リリースされた2020年(1~9月)の世界不動産投資額ランキングがニュースになっていました。
2020年1~9月【1位】東京 【2位】ソウル 【3位】ロンドン 【4位】パリ 【5位】ニューヨーク
2019年1~9月【1位】ニューヨーク 【2位】パリ 【3位】ソウル 【4位】東京 【5位】ロサンゼルス
東京1位でソウル2位になったの大きな理由はコロナによる影響がアメリカやヨーロッパに比べて軽く、その為アジア圏に資金が流入したとのこと。
そして来年のオリンピックに向けた不動産需要もあり、何故このタイミングにわざわざ身売りをする理由を考えてみました。
その答えはケネディクスはTOBされる危険性を回避するために自ら要求を満たしたTOBを仕掛けさせたのではないか?
経営陣の待遇や利益分配など交渉済みの非上場を目的にした友好的TOBならば安全に特定の株主を残し現株主を切り離せるから…
考えることを放棄したの自称ハンターへ捧ぐ
考えることを放棄したの自称ハンターへ捧ぐ
ケネディ・ウィルソン・ジャパンは1995年に米国不動産企業のケネディ・ウィルソン・インク(KWI)の日本拠点の子会社としてとして設立されました。
2003年東証二部上場&KWI資本関係解消→2004年東証一部指定→2005年ケネディクス株式会社に商号変更ここまでに10年の歳月かけています。
首都圏を中心とする保有不動産の受託資産残高(AUM)は2006年0.5兆円。
2008年リーマンショックに伴った不動産市場の悪化と金融引締めによって資産圧縮を乗り越え2010年1兆円突破して2017年2兆円の大台を超えました。
人によっては投資家の資金で買った不動産が積みあがったから何なの?別にケネディクスの資金ではないでは無いでしょ?と思うかもしれません。
しかし首都圏の土地はお金があるから買えるというものではありません。
更地の土地から家を建てるのに人や資金や時間がどれだけ掛かるかを新築住宅を持っている人なら分かるはず。
それが大規模ビルとなれば桁が何個増えるかを想像してみてください。
前回の投稿でも少し触れましたが大きすぎる資金は行き着く先は限られています。
どこかのお金持ち曰く「お金を使うは難しい」は嫌味では無くて少し言葉足らずで、正確には「大きすぎる富を内包できる器は極めて希少」です。
祝おうじゃないか
祝おうじゃないか
ケネディクスが2003~2020年の17年間で積み上げてきた不動産アセットマネジメントの魅力が伝わりましたか?
ただ残念ながら市場は必ずしもそうは思ってなかったのも事実。
前回の投稿にもあるようにケネディクスが市場(株主)の期待に応えることが出来なかったことが最大の理由。
しかし大きな視点から考えるとバブル崩壊後の土地神話の終焉の傷が今も日本には根深く残っているように感じることもあります。
私のようにバブル期を体験したことが無いヒヨッコ投資家が言うのも何なのですが30年経っても未だにその呪縛に囚われてることに気付いてさえいない投資家の方がいます。
メディアが謳う様にバブルは本当に悪なのか?そもそも何故起こったのか?その後の30年で世界と日本はどう変わったのか?
これはそんなこと自分には関係無いと思っている人こそ考えてほしいと投資を始めた私はそう強く願っています。
だって生きている以上はこうした経済の動きに関係ない人など一人もいないのですから。
人間の底すらない欲望が行き着く先が何であれ株価とは人の感情によって形成された、ただの数値。
作為的な騙し買いだろうがAI投資による売りだろうがそこには人の判断(感情)が介在しています。
嘘か本当か分かりませんが皮肉なことに資産運用で最も儲けてるのは亡くなられた方と投資を忘れてる方というデータもあるらしいです。
果たして投資において感情が必要なのか邪魔なのか判断が難しい。
まぁ、邪魔だからと捨てれるモノではないけどね。
愛と憎悪、願望と絶望、事実と虚構が流れ込んでると考えるなら、まさにチャートは生きています…というより人間の「心」の葛藤のように思えますよね。
次回投稿のケネディクスTOB【嘘じゃないよ。強がりじゃないよ。少しだけ嬉しい。】につづく。