どうも、のうみです。
今回紹介するのは2016年TBSにてテレビドラマ化により放送された「重版出来!」です。
原作は松田奈緒子さん月刊!スピリッツにて2012年から掲載中。(2020.1.8現在)
【2023.6.27追記】
連載11年!堂々完結!バイブスのみんな、おつかれさま。
重版出来(じゅうはんしゅったい)とは出版した書籍の初版分が売れて増刷こと。
出版業界では誰もが心から歓喜の雄叫びを上げてしまう幸せの言葉。
この作品は出版業界の編集にスポットを当てた物語。
週刊コミックバイブスの編集部に配属された黒沢 心は元柔道オリンピック強化選手だった過去を持つ気合と根性のスポ根女子。
ケガにより柔道の道が絶たれて挫折を味わい、相手に寄り添う優しさと小柄な身体だけど柔道で鍛えた心技体を持ち合わせている黒沢こと通称コグマ。
真っすぐな性格の黒沢は柔道を始めるきっかけを与えてくれた漫画への感謝。
自分と同じように誰かに漫画の力を広める仕事に就いたのだが…
出版業界の理想と現実
出版業界の理想と現実
時代の変化により出版部数の減少は底打ちは見えず大手出版社でも出版書籍の売り上げは落ちていく一方。
購買層の変化もあり一昔前のように圧倒的な存在だった漫画が他のコンテンツにユーザーの時間を奪われている状況。
編集者は作者と共に作品を世の中に広める為に営業や表装デザイナーや書店員などの多くの人達の力を借りて成り立っている。
しかし数字が全てという現実、そして売れなければ消えていく。
その当たり前の事実が、この作品には目を背けることなく描かれています。
安井を思い出すと涙が止まらない
安井を思い出すと涙が止まらない
心に強く残ってるのは、TEAM NACSの安田 顕さんが演じる新人潰しの悪名を持つベテラン編集者の安井 昇のエピソード。
雑誌の利益を最優先し作者の意向を気にかけず淡々と仕事をこなす冷徹な安井。
しかし、昔は漫画への熱い思いが溢れるコミックFLOWの編集部の一人だった、まるで黒沢のように。
コミックFLOWの廃刊をきっかけに無駄なことはせず雑誌の売り上げに貢献し数字だけを求めるスタイルに変わった。
編集者と漫画家の二人三脚で作品を育てる黒沢にかつての自分を重ねているように見える。
過度に追い込まれた新人漫画家からの感謝とも拒絶とも受け取れる言葉に冷静を装い気丈に振る舞う。
その一瞬、眼には涙が溜まって溢れそうになるシーンは演者に安井の魂が乗り移ったと感じるぐらいの名演技。
心の底では漫画愛が溢れてるけど家族の為、そして雑誌を終わらせない為に淡々と仕事をこなす安井。
売れなければ雑誌がなくなり漫画家も編集者も関わる人の居場所が消えてしまう現実を誰よりも身を持って知っている安井のことを誰も責めれない。
随分前に視聴した作品だったけど、このシーンを思い出したら涙が出ちゃう。
