どうも、のうみです。
今回紹介するのはアメコミの中でも異彩を放つ「ウォッチメン」です。
時代は1930年のアメリカ合衆国。
法を犯す者を自らの手で裁く為に覆面を被ったヒーローが一同に結集したミニッツメンが結成。
第二次世界大戦を期にミニッツメンは戦争にも関与をすることになる。
その権力は政治にも及ぶようになり、ある者は報復によって殺され、またある者は引退し、表舞台から次第に姿を消していく。
時代は移り新たなヒーロー組織ウォッチメンが結成されたが、その実態はヒーローを軍事目的で利用する為に政府による管理された組織だった。
これによりアメリカは世界の覇権を握ったはずだったが…
正義に監視された平和な世界
正義に監視された平和な世界
世界はその力に恐怖し、アメリカ国内でもヒーローへの反発も起こり始めた。
大統領はキーン条例によって覆面をした自警行為を禁止。
キーン条約により覆面ヒーローの活動は制限され、人智を超えた能力を持つマンハッタンのみが政府公認のヒーローとして活動を許された。
秩序を守ってきたヒーローはマスクを捨て一般人として身を隠し生きる者もいた。
そんなある日、ミニッツメンのメンバーだったコメディアンが殺害された。
その事件の調査するロールシャッハによって、再びウオッチメンのメンバーが秘密裏に動き始めた。
ヒーローが生み出した混沌世界
ヒーローが生み出した混沌世界
現実世界には存在しないヒーローによって、世界は平和にならず秩序は乱れ国際情勢は危機的な状況になっていた。
抑止力が存在することで恐怖と畏怖が世界に蔓延し、緊張状態がアメリカとソ連の間で続く。
この時代ではヒーローは正義ではなく、それどころか悪のような扱いになっています。
ヒーローは超人的能力の持ち主だけど、ひとりの人間。
世界の為に戦っていたはずが、いつの間にか孤立して人々を守る理由すらも失われていく。
世界を救済も破壊もできるマンハッタンが行き着いた答え、それは自身が強大な悪になること。
それが世界を団結させ平和をもたらす。
ヒーローを悪として扱うことで世界の秩序が保たれる。
皮肉なことだけどヒーローから見れば、人間こそが悪なのかもね。
こうしたアンチテーゼをテーマにした作品は多々あるけど、このウオッチメンはヒーローの人間臭さがしっかり描かれている。
語り手であるロールシャッハは悪党を決して許さず、強すぎる正義感により悪党の血で穢れている。
未来が視えるマンハッタンは失いつつある人間性により葛藤している。
ヒーローにもひとりの人間としての心があり、今にも壊れてしまうような儚さ感じる。
