どうも、のうみです。
2002年にXboxよりカプコンから発売された鉄騎というゲームをご存じでしょうか?
当時の二足歩行ロボゲーはどれもスピード感のあるSFロボットばかりでしたが、この鉄騎はそうした趣とは異なっていた。
科学技術の発展による陸上兵器の正統進化、そんな漢のロマンの果てに生み出されたのが二足歩行兵器バーティカルタンク、通称VT。
このVTを新米パイロットとしてプレイヤーが操作し戦火を潜り抜けるシミュレーションゲーム、それが鉄騎。
発売当時はまだ子供だったので、貯め込んだお年玉とお小遣いの前借りでXbox本体と同時に購入。
その額なんとXbox本体25,000円+ソフト20,000円で合計45,000円と当時の私には、かなり大きな買物だった。
ソフトが20,000円という高額な理由は鉄騎専用コントローラーが付属してたから。
今にして考えるとこのクオリティーでこの値段は安すぎる。
リアル志向を徹底追及した挑戦的作品!
リアル志向を徹底追及した挑戦的作品!
鉄騎の為だけに制作された、なんと重量8kgもあるコントローラーの存在感は別格。
バカでかい箱から取り出すとツインスティックが3つに分かれていてレンチを使い自分で組み立てないといけない。
ツインスティックを使いカメラアングルと機体移動方向を別々に操作可能。
フットペダルによるアクセルとブレーキ、そしてスライドステップにより攻撃の緊急回避もできちゃう。
誘導兵器による攻撃をチャフで回避したり、機体の起動には幾つかの手順を踏まないと動けないなど徹底したリアルを追求してる。
脱出ボタンもあって、もし機体が破壊される直前に脱出しないとセーブデータが消えてしまう鬼畜仕様。
仮に上手く脱出したとしても戦績を上げることができなければ使える機体がなくなり左遷となります。
左遷されるとセーブデータが使用できなくなるという素晴らしくぶっ飛んだゲーム。
このゲームはまさにカプコンのチャレンジ精神の産物。
大人になった今なら正直10万でも買うのでコントローラーをもっと重厚で壊れにくい設計してほしい。
実際買って体験してるから覚えているけどコントローラーは左ステックの不具合がありカメラアングルが勝手に動くなど、一部に欠陥があり修理に出したことがあった。
コントローラーの生産はサミーだったはずだけど同じ体験をしたプレイヤーは多いはず。

開発当初はPS2で開発されてたけど本体のスペックに問題があり開発をXboxに変更。
当時の技術で表現できる限界を目指していたってこと。
シフトレバーで1速から加速して最大スピードでカーブを曲がれば転倒したり、カメラが汚れたらウォッシャーボタンを押して視界を綺麗にしたり、細部まで徹底的にリアルに作り込まれてる。
ロックオン攻撃を回避する相手にはノーロック攻撃によって着弾確率を上げることもできちゃう。
カプコン特有のクリアするとさらに高い難易度が出現。
最高難易度を誇るアルマゲドンモード…ホントとんでもないネーミング(笑)
最初にプレイできるノーマルモードがゆっくりに思えるくらいで実弾スピードを再現したと言われてたの狂気の設定だった…まさに終末戦争。
弾丸制限や燃料補給なんて序の口でマニュピレーターによるドアロック解除や無謀すぎる上空からの強襲作戦など闘争を求めるプレイヤーを奮い立たせる。
近接攻撃兵器スタンロッドや第三世代兵器のレールガンによって機体電源を強制的にカットや遮蔽物を壁にして曲射兵器の攻撃など戦略方法の自由度も高い。
バイオハザードと同じく「どんだけこのゲームやらせるんだよ!」と泣きながら何度もプレイさせられた。
記憶がちょっと曖昧だけど最初に選べるのはノーマルでクリア後にベテラン→マグナムフォース→デスペラード→アルマゲドンの順番で難易度が上がっていく。
5モード×2シーズン(2080年→2082年)で10周させるってカプコンあんた狂ってよ(泣)
もしミスって一度でも死んだらセーブロストとか、そのショックは計り知れない。

戦争と政治そしてVT開発企業の暗躍
戦争と政治そしてVT開発企業の暗躍
鉄騎でVTは第一世代~第三世代まであり性能は個体によって大きく異なります。
機体ごとに特性があり第一世代VTビッツは小さいモニターにモノクロビジョンで最高速60キロぐらい、まさに死の棺桶。
最先端モデルである第三世代VTクエーサーは全面有視界が可能な大型モニターで圧倒的機動性を有し最高300キロ以上出すことが可能。
戦争の裏には政治的な背景やVT開発企業の暗躍があり戦火の舞台となる海市島の独立の理由などかなり細かく設定されてる。
紛争の発端となる資源豊かな人工島の海市島で海外政府要人を拘束した最高責任者ゴーミット・シン。
物語では主人公は海市島独立を阻む環太平洋機構の兵士なので海市島勢力が敵として描かれてるけど、その独立には理由ある。
現実の世界と同じく善悪という明確な境界線はなく国家の思惑と人類の愚行がリアルに描かれてる。
ブロック経済圏により大きくその国境が変化した2080年の世界においてもアメリカは未だに世界最大の経済力と軍事力を持った超大国。
しかし、その覇権は弱体化の一途を辿っていて科学技術の飽和点に達した混沌の世界が鉄騎の世界であり、どことなく終末的な世界観を感じる。
2080年第一次海市島紛争【新兵編】をクリアすると2082年第二次海市島紛争【隊長編】がプレイできるようになる構成にはゾクゾクした。
エンディングの音楽は2パターンあり女性ボーカルの歌うタイトルも歌手も不明の名もなき歌は鉄騎の世界観を表現していて定期的に聴きたくなる名曲。
戦争中と戦後の映像を織り交ぜながらの演出はクリアの達成感を満たしながらも戦争の結末がもたらした破壊の爪痕と新たな希望を観ることができる。
以前に語ったポケット中の戦争のエンディングと同じ匂いがする。
【2020.12.28追記】
実家で保管していた鉄騎の再起動してみた。
左スティックは壊れてますがクリアデータが残っていたので過去のリプレイやエンディングもしっかり観れました。
改めてこの作品の凄さを大人になって改めて観ることができてちょっと感動。
鉄騎が発売されてすでに18年。
映像の質は最新のゲームには見劣りする部分があるけど今も他の追従を許さない唯一無二のロボゲー。
