小説

夏目漱石『こころ』【先生の中に宿る暗い魂】

こころ

どうも、のうみです。

今はどうかは知らんけど昔は教科書にも載っていた夏目漱石の「こころ」を紹介します。

1914年(大正3年)に発刊された昔の書籍だけど百年以上前の小説とは思えないほど読みやすく、そして心に重く残る作品。

この本が小説を読むきっかけになったので、とても思い入れが深い作品。

物語は三部構成で「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」となっていて、若干ネタバレのタイトルがあります(笑)

人の『こころ』に潜む光と底無し闇

先生はどこか影のある存在ではあったが行動や言動に学ぶべきことがあると思ったは交流を深めていく。

第一部「先生と私」では静かに暮らす先生と美しい奥さんとの関係、そして先生が毎月通う友人の墓参りのことが描かれています。

私は先生に、その教えを求める余り先生の過去に触れようとしたが拒絶される。

第二部「両親と私」では腎臓病を患った父親の病状が悪化し親類が実家に集まり看病し見守っていた。

私は先生のいる東京には戻れず、しばらく実家で生活をすることになる。

そこへ先生から分厚い封筒が送られてくる。

第三部「先生と遺書」では先生からの封筒を開けた私は父のことが気になったが、すぐに東京行きの切符を買い電車に乗っていた。

分厚い封筒の中には先生の遺書があり、揺れる電車の中で静かに読み始めた。

そこには若かりし頃の先生と先生の奥さんともう一人、先生の友人である友人Kがいた。

読んだことのない人のことを考えてあらすじはここまで。

先生はなぜ死を選んだのでしょうか?

そして過去に何があったのでしょうか?

それはあまりにも重く決して誰にも言えない秘密だったですが、生前から交流を深めた私にのみに打ち明けた若かりし頃の先生が犯した罪背負った罰とは。

それぞれの思いがすれ違い、そして疑念を生み、愛する人を奪われたくないという業がもたらした悲劇。

しかし、そういった業は誰にでもあるのではないか?

先生も友人Kも悪人などではなく、どこにでもいるありふれた普通の人間。

だからこそ、友情や愛を奪われることを恐れたのではないのでしょうか?

果たして先生の罪はそれに似合った罰だったのか?

受け継がれる先生の遺志

作品に唯一の救いがあるとしたらそれは、私へ先生の遺志が受け継がれたこと。

私とは物語の主人公であり、そして読み手の私【あなた】でもある

先生の遺志は読み手にも受け継がれるとは、この小説の底知れぬ凄さを感じる。

「こころ」だけでなく夏目漱石の小説は時代を超えてもまったく色褪せない。それじゃ~また。

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